本記事は、サロンで実績が出た方との対談動画を記事化したものです。
今回の対談相手は、ガジェット系の発信をされている「やまこう」さんです!
▼やまこうさんのアカウント(こちら)
ガジェット系インフルエンサーとして、自分のブランドを立ち上げたやまこうさん。
有形の自社商品の開発からローンチまでの詳しい流れ、P2C(※)やD2C(※)マーケティングについて、エヌケンとの対談ライブの様子をお届けします。
※P2C:Person to Consumer
→個人が直接消費者に販売すること
※D2C:Direct to Consumer
→企業が直接消費者に販売すること
簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか?
電子機器やガジェット系アカウントを運用している、やまこうと申します。
インスタグラムで2年半ほど活動しており、自社ブランドを立ち上げて、有形の商品を販売しています!
やまこうさんは大阪のオフ会にも参加されていたので、ご存知の方も多いと思います!
自社ブランドを立ち上げているインフルエンサーはなかなかいないので、今日はたっぷりとお話を伺いたいと思います!
よろしくお願いいたします!
こちらこそ、よろしくお願いします!
-本記事は約15分で読み終わります-
▼目次
ガジェット系インフルエンサーとしてのマネタイズ方法についてお聞きしたいのですが、主な収益源は何でしょうか?
ガジェット系の場合、企業からの固定案件が主な収益源です。
ガジェットに関しては、アフィリエイトに向いている商材がどうしても少ないんですよね。
だからこそ、固定のPR案件が主流になります。
そうですよね。
例えば、こちらの2つのフィードもタイアップ投稿です。
▼INSTAX mini 99™
▼Eeスマートリング
確かに、ガジェットや家電の案件などは多いイメージがあります!
固定案件が多い中で、いつ頃から自社商品を作ろうという流れになったのでしょうか?
アカウントを立ち上げてから約1年半後、フォロワーが増えてきたタイミングでブランドを立ち上げる話が持ち上がりました。
ブランド立ち上げの話は、DMなどから来たのでしょうか?
いえ、DMではなく、僕の場合はリアルな知り合いの繋がりからでした!
無形サービスでのマネタイズをメインで考えていたのですが、話を聞いてみて、自分で有形商品を作って売るアイデアが面白いと感じたんです。
なるほど。
とはいえ、最初に数百万のイニシャルコストをかけなければいけないので、やろうと思う人は少ないですよね。
その中で一歩踏み出せた理由は何かありましたか?
利益率でいったら、間違いなく無形商材の方が良いしリスクもないんですよね。
でも僕の中で有形商材をやりたいと思った理由は、ビジネスマンとしてステージを変えたいなと思ったのが大きかったですね。
なるほど。
みんなが無形を売るステージにいる中で有形の商材に生み出せば、間違いなく市場価値が高まるなと。
知見も広がるし、周りの人からも覚えてもらいやすいと思いました。
リスクを追うからこそ、発信者の中でも抜きん出ることができますよね。
具体的にはどのようなブランドを立ち上げたのですか?
電子機器やガジェットと相性の良いバッグを作るブランド「Y-Tag」を立ち上げました。
▼やまこうさんの自社ブランド(こちら)
ガジェットを持ち運ぶ際に便利なバックパックやショルダーバッグを開発し、デザインや機能性にこだわった商品を提供しています。
スタイリッシュでかっこいいですね…!
▼販売した商品
バッグを選んだ理由を教えていただけますか?
理由は主に2つで、
①ガジェットとの相性がよかったこと
②差別化がしやすいこと です。
それぞれ詳しく教えてください!
まず「①ガジェットとの相性がよかったこと」について。
電子機器そのものを開発するのは難しいと感じたため、関連商品としてガジェットを持ち運ぶバッグに注目しました。
毎回動画でバッグからPCを取り出すシーンなども使えますし、発信内容とマッチしていることが大きかったです。
確かに、違和感なくバッグを動画に登場させられるのは強いですね。
そうなんです。
次に「②差別化がしやすいこと」について。
バッグだと、パソコンを入れやすさなど、機能性の面で既存商品との差別化がしやすいと思ったのもバッグを選んだ理由です。
なるほど、納得です。
ガジェット系の発信をしていると、スマホアクセサリーなども候補に上がりそうですが、バッグ以外は候補として上がりませんでしたか?
スマホケースなども候補に上がったのですが、ビジネス的に厳しく却下となったんです。
そうだったんですね。
詳しくお聞かせいただけますか?
・一度に4つほどの型が発売される
・単価が安いためロットを積まないといけない
・ロット数が多い割に、1年でまた新しい型が出てくる
など、難しい点が多かったんです。
確かにそうですよね。
バッグであれば、ある程度単価も上げられますし、やり方次第でオリジナルのものが作りやすいと思ったので、最終的にバッグを選びました。
①ガジェット系インフルエンサーの主な収益源は固定案件。
②「ビジネスマンとしてステージを上げたい」思いから有形商材に挑戦。
③ガジェットと相性が良く、既存の商品と差別化がしやすいバッグを作ることに決める。
バッグを作ると決まってから、実際に工場を探す流れになると思うのですが、工場はどのように決められましたか?
僕の場合、実は工場選びはパートナーにお願いして、OEM(※)を探してもらいました。
・関西にあって実際に通えること
・バッグの製造に携わっていること
この2つを条件に、打ち合わせできそうなところにアポを取っていきました。
※OEM:Original Equipment Manufacturing
→オリジナル商品の製造者
実際にやってみて、何か苦労した点はありましたか?
そうですね、OEMとの実際のやり取りはやはり大変だと感じました。
実は、今のOEMは4社目なんです。
そうだったんですか。
OEMを変えたのはどのような理由からだったのでしょうか?
・やり取りの雰囲気
・ロット数の調整が難しい
・サンプルの出が悪い
などが理由でした。
色々と紆余曲折ありながらも今のOEMにたどりつけたのですね。
エヌケンプロテインの工場選びの裏側を知りたい人は、こちらの記事をご覧ください!
サンプル製作はどのくらいの期間がかかるのでしょうか?
今のOEMでは、サンプル依頼から1ヶ月半ほどで、ファーストサンプルが上がってきます。
量産をかけるタイミングは大体2ヶ月です。
サンプル作成を経て、販売までにかかった期間はどれくらいになりますか?
ファーストサンプルで納得できることはほとんどなく、3〜4回にわたって修正を加えたので、結局1年ほどかかりました。
1年間もかけて開発されたんですね!
最初のサンプルは、0からイメージを伝えるのがなかなか難しいと思うのですが、どのように依頼されたのでしょうか?
最初は、何を作っていけば良いかわからなかったので、自分のイメージに近い既存のバッグを購入して持っていきました。
既存のバッグを元に「ショルダーの部分はこうして」「生地はこうして」「ポケットはこうして…」など要望を伝えていったんです。
0→1で、完全に自分で作り上げたというよりは、原型となるバッグがあって、そこにオリジナルを加えていく形だったんですね。
バッグを作られる中で、フォロワーさんの意見を取り入れたりされましたか?
そうですね、8割くらいは自分のこだわりを入れていて、残りの2割くらいは、質問箱を用意してフォロワーさんに「どんなバッグだったら嬉しいか」のアイディアをもらいました。
フォロワーさんも巻き込んで一緒に作りあげられたんですね。
初回のロット数は迷うところだと思うのですが、どのように決められましたか?
OEMの方で最低ロット数が決められているので、そのロット数に合わせて作りました。
最低ロット数が1,000などの工場はかなり資金がいるので、自分たちの資金に合わせて作れるOEMを探すのもポイントだと思います。
なるほど。
最低ロット数の調整に関しては、具体的な選定基準などはありますか?
そうですね、僕は個人としてやっていて、融資を受けずに運営しているので、その中でやりくりできる範囲になりますかね。
最初は数百万は予算として考えていて、これくらいだったらいけるかなというのを計算して決めました。
そうすると、ロット数に関しては、基本的には予算軸で決められたということですね。
そうですね!
僕も自社でプロテインを販売しているからわかるのですが、どれだけ売れるかがわからない中でいきなり数百万を投資するってなかなか怖いですよね?
そうですね、売れなかったらどうしようっていうのはあるのですが、1回のローンチで売り切るとは考えていなくて。
長い時間をかけて、例えば1年かけて売り切るのであればいけるのではないかという計算をしていました。
でもやってみないとわからないというのはありましたし、最悪、残ってしまったらしょうがないのかなというのもありましたね。
ちなみに僕がプロテインを売った時は、事前に既存のプロテインをインスタから売って、ある程度テストマーケをしたんですね。
実際にそれくらい売れるかはわからないけど、全くの博打の勝負ではなかったんです。
やまこうさんの場合はそういったテストマーケ的なことはやられましたか?
いや、そこまで丁寧にテストマーケをしたわけではなくて。
1〜2発で売れるものではないとは思いながら、長い時間をかければこれくらい消化できるだろうとは考えていました。
そうだったんですね!
でも今回めちゃくちゃ売れているとのことなので、販売についてもこのあと詳しくお話しを伺っていこうと思います!
①工場を選ぶ
・実際に通える距離か
・作りたい商品を扱っているか
・雰囲気
・ロット数
・サンプルが完成する期間
などを考えて選ぶ。
②既存商品を用いてサンプルを作る
・0→1をオリジナルにするのは難しい。
・イメージに近い既存商品にオリジナル要素を加えていくやり方も。
③ロット数の決め方
・資金
・売り切れる量
を考えて決める。
製品が完成して、次に考えるべきはどのように販売するかですよね。
今回、どのプラットフォームで販売されたのでしょうか?
今回は、
Shopifyを選びました!
▼Y-TagのECサイト(こちら)
Amazonなどの大手のプラットフォームではなく、 Shopifyを選んだ理由を教えていただけますか?
顧客の購買データを細かく分析できたことが大きな理由です。
・リピート率
・平均購入金額
・地域別の販売データ
・リアルタイムPV数
などを把握できるので、マーケティング戦略をより効果的に立てることができています。
そうですよね。
実は僕もShopify使ってます!
ECサイトデザインを自由にカスタマイズできる点も非常に魅力的で、ブランドイメージに合わせたサイトを作ることができました。
他のプラットフォームでの販売は考えませんでしたか?
Amazonも検討しましたが、最終的には自社ECサイトを選びました。
Amazonだとレビューがつきやすい反面、悪いレビューがついてしまうと消せないというデメリットがあります。
ブランドの初期段階では、やはりブランディングを大事にしたいと考え、Amazonでの販売は見送りました。
初期のブランディングを守るために、リスクを最小限に抑える選択をされたんですね。
マーケティングについてもお伺いしたいのですが、特に力を入れた施策はありますか?
ショート動画やフィード投稿に力を入れました。
▼完成報告&展示会(東京)
のお知らせフィード
▼展示会(大阪)
のお知らせフィード
確かに。
見ていると、ストーリーズでガッツリ売ったというよりは、フィード投稿と、ショート動画で売られていた印象が強いです。
そうですね。
買ってくれたほとんどの方が、リールかフィードでリーチしていると思います。
「ガジェットオタクが1年かけて本気で作った」みたいな動画が、YouTubeやTikTokで100万回以上回っていたのを見ました。
このリールですね!
そう!これこれ。
バズらせるために意識されたことはありますか?
先ほどのリールではバッグの機能の説明がメインでした。
他のリールでは、視聴者が自分の生活にどのように取り入れられるかをイメージしてもらうことを大事にしました。
なるほど。
イメージしてもらうためにどんな工夫をされたのでしょうか?
例えば、カフェでパソコンを取り出すシーンや、通勤中にバッグを持ち運ぶシーンなど、実際の使用シーンを具体的に見せることで、製品の魅力を伝えるようにしています。
▼バックパック再販
▼ボディバッグ再販
映像にもすごくこだわられていましたよね。
そうなんです。
カメラマンさんに撮ってもらったPVも用意しました。
▼PV(ロングVer)
▼撮影の様子
フリーランスやリモートワーカーに向けたバッグというコンセプトをイメージしながらPVを撮影しました。
フリーランスが活動しているビジネス街で、颯爽と自転車をこいで、カフェでパソコンを開いて、また背負って移動するというような。
映像のクオリティ高いですね〜!
ありがとうございます!
①ブランディングを崩さないプラットフォームを選ぶ。
・口コミはコントロールできるか
・デザインはカスタマイズできるか
・分析に必要なデータを細かく見られるか
②ショート動画やフィードを使ってより多くのターゲットにリーチする。
・生活にどう取り入れられるかをイメージさせる
・カフェ、通勤中、自転車など使うシーンを具体的に見せる
・クオリティを上げたいならカメラマンに撮影をお願いする
これまで順調にブランドを成長させてきたやまこうさんですが、今後の展開についてどのように考えていますか?
最終的にはD2Cブランドとして自立し、会社を売却できるレベルに育てることを目指しています。
今の段階では、P2C戦略を続けながら、ブランドの基盤を強化していく計画です。
そして、最終的には僕がいなくても売れるブランドを目指しています。
売却までを視野に入れているんですね。
今後はどのようにスケールさせていく予定ですか?
そうですね、来季は商品ラインナップ増やしたいと考えています。
ラインナップを増やそうと思った理由をお聞きしても良いですか?
今回はバックパックとボディバッグの2種類のみでした。
一度完売すると次の在庫を発注するのに時間がかかり、1ヶ月〜2ヶ月弱は売りたくても売るものがない状況だったんです。
かなり早い段階で売り切れていましたもんね。
そうなんです、ありがたいことに。
バックパックは販売後1時間、ボディバッグは販売後3時間で完売でした。
すごすぎますね…!
ありがとうございます。
だからこそ、商品のない状況を避けるべく、来季はアイテム数を増やして、何かしらのアイテムは常に在庫がある状態にしておきたいなと思っています。
最終的には、D2Cの状態にして、ブランドを売却できる状態(売値がつく状態)にしていきたいです。
なるほど。
やまこうさんのバッグの場合すでにD2C要素が多めだと思うんです。
【P2C要素】
「すでにやまこうさんのファンだった人」
【D2C要素】
「バッグで初めてやまこうさんを知って買ってくれた人」
どちらの割合が多かったか、データって出ていたりしますか?
実はここが詳しく見られていなくて。
ただ、購入者の男女比が、フォロワーさんの男女比と異なっていて、女性の購入者も思いの外多かったんです。
バッグの販売で初めて僕のことを知ってくれた人も多かったと思います。
うんうん、実は僕の周りでも、やまこうさんのバッグいいよねと、商品の良さで結構話題になっていたんですよ。
そうだったんですか!
嬉しいです…!
だから、すでに
【P2C】
やまこうさんだから買う
↓
【D2C】
商品自体が良いから買う
にシフトできつつあるのではないかなとも思いました。
なるほど…!
ぜひ購入者の詳細情報が分かったら教えていただきたいです!
再現性という意味ですごく価値あるデータだと思います!
もちろんです!!
P2Cの課題だと思うのですが、売り上げが本当に安定するのか問題がありますよね。
D2Cをやる人はいるんですが、半年くらいやって終わりという人が多いんですよね。
そんな中で、「これから商品展開を増やす」と聞くとすごいなと思いますね。
そうですね。
続けることはやっぱりものすごく大事であり、同時に一番難しいとも思います。
正直1人やろうと思うのは難しいなと。
僕もスタッフが2人いるんですけど、そのスタッフに助けられていますね。
①P2CからD2Cへ。
「やまこうさんだから売れる(P2C)」
↓
「商品が良いから売れる(D2C)」へ
②商品は切らさないようラインナップを整える。
・何らかのアイテムは常に在庫がある状態に
③一人で続けるのは大変なので、信頼できる仲間やスタッフを探す。
・D2Cを始める人はいるが、すぐ辞めるのではなく続けることが大事
自社ブランドをもつ数少ないインフルエンサーとしての貴重なお話し、ありがとうございました!
自社商品を作ろうとしても、何から手をつければ良いかわからない方が多いと思うので、かなり参考になるお話がたくさんありました!
こちらこそ、ありがとうございました!
やまこうさんのご活躍と、今後のブランド展開、楽しみにしています!
▼やまこうさんのアカウント(こちら)