▼ 目次
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※本章は経営者・企業向けです。
インフルエンサーマーケ(以下IFマーケ)をやるとき、最初に「予算」と「KPI」を決めます。
※KPI(Key Performance Indicator)=重要業績評価指標。目標を達成するためのプロセスの達成状況を評価する指標のこと。
例:新規来店数200人、フォロワー増加数1万人、
KPIの設定が悪いIFマーケは、多くの場合失敗に終わります。
▼ 失敗しやすいKPI
お店のアカウントのフォロワーが増えただけでは、来店数は増えません。
限定クーポンが貰えるキャンペーンをしても、行く予定がなければクーポンが使われることはないでしょう。
使われなければ売上は上がりません。
投稿がバズって表面上は成功したように見えても、再生回数に比例するほど来店数は増えません。
見るだけ、というユーザーがほとんどなのです。
認知向上を目指す場合は、再生回数やリーチ数が目安になります。
しかし、実のところ、再生回数を安定して出すノウハウを持っている代理店は少ないです。
▼ うまくいくKPI
当たり前ですが、売上が上がらないと広告費だけ支払って赤字になります。
そのため、最も重視すべきなのは売上に直結するかどうかです。
来店さえしていただければ、売上が上がります。
紹介で入店した数=来店数なので、友達紹介数をKPIに設定した場合も売上が必ず上がります。
IFマーケでは、KPIの良し悪しは売上(来店)に直結するかどうかです。
なるべく深い位置にKPIを設定することで、売上につながるようにしましょう。
飲食店の場合は、IFとコラボメニューを作ってその売上数でも良いと思います。
※本章は経営者・企業向けです。
施策が決まったら、次はIFの選定です。
IFを「フォロワー数が多いから」という理由だけで選ぶと多くの場合失敗します。
フォロワーが多い人を選ぶとその分広告費が嵩むので、失敗したときのリスクが高くなります。
「フォロワー数=IFの影響力」ではありません。
フォロワー数だけで選ぶと、来店にはつながらず広告費が無駄になってしまいます。
IFマーケにおいては、フォロワー数ではなく、影響力が重要です。
影響力が大きいと、ファンがIFをきっかけに実際に行動してくれる可能性が高くなります。
▼ 影響力とは
コメント数やストーリーズで共有されるDMを見てみましょう。
コメントは、数ではなく内容を確認してください。
情報に対する内容ではなく、発信者への内容であればファンからのコメントです。
▼ 数ではなく内容を見る
▼ 発信者の影響で行動したというDM
少し話が反れますが、代理店を挟まない場合、IFをマネジメントするのに苦労することが多いです。
代理店を挟まない場合、手数料がなくなるので予算に余裕ができます。
一方で、手間もかかるし時間もとられます。
コンテンツの質に対して指示を出すこともあるので、ストーリーズのノウハウなども必要になります。
IFのマネジメントが意外に大変なことも多いです。
▼ IFをマネジメントする際の苦労
・下書きが提出されない
・要望を聞いてくれない
・返信が返ってこない
・期日までに投稿してくれない
経営者ならIFマーケ以外にも仕事がたくさんありますよね。
IFマーケに使える時間も限られているので、多くの場合代理店を挟むことになるでしょう。
※本章は経営者・企業向けです。
僕は、IFマーケで成果が上がらず、頭を抱える経営者を多く見てきました。
僕の行きつけのカフェのオーナーもまさに失敗しやすい提案をされていました。
まずは、カフェの実際の施策です。
▼ カフェの実際の施策概要
☆ IF選定
フォロワー10万人のカフェインスタグラマー2名。
リールの平均再生回数は約5万回。
コメントほぼ無し。
たまに大ヒットを起こし、数百~千万再生も出す。
☆ 予算
IFに支払う報酬=フォロワー数×1円
→IFへの報酬+代理店手数料=約30万円
☆ 施策内容
リール1本の作成投稿、
ストーリーズ1本、
☆ KPI
公式LINEの友達追加数(限定クーポン配布)
実際の施策が絶対に失敗するということではないですが、この施策には2つの問題があります。
・IF選定の問題点
実際の施策で選定されたカフェ系インスタグラマーは、人ではなく情報に対してフォローされています。
コメントの少なさからファンの少なさがわかります。
「情報は参考になるけれど発信者には興味が無い」というような状態です。
このインスタグラマーがストーリーズでお店を紹介しても、来店にはつながらないでしょう。
・施策の問題点
「公式LINEへの遷移でクーポンが貰える」という施策では、実は公式LINE追加数はあまり増えません。
▼ 「追加しない」「追加しても結局行かない」理由
・お店に行ったことがない
・行く予定が立っていない
・誰と・いつ・どんな目的かが未定
たまたまその店の近くに行く予定が近々ある人は行くかもしれません。
しかし、投稿を見て新たに行こうとする人はほとんどいないでしょう。
僕が提案する施策では、これらの問題点を解決する要素が入っています。
▼ エヌケンが提案する施策
☆ IF選定
フォロワー1~2万人で発信者のファンがいるIF
平均再生回数は数千〜数万で十分
☆ 予算
元の施策と同じ(IF一人あたり10万円)
☆ 施策内容
リールの作成
ストーリーズ6本(匂わせ、告知×3、当日、UGC+α)
休日1時間店頭イベント
IFコラボ限定スイーツを制作
→1週間限定でこのカフェで展開
※UGC(User Generated Content)=ユーザーが自発的に作成したコンテンツ。企業ではなくユーザーが主体的に発信する情報のこと。
ストーリーズのイメージとして、インスタ運用のアカウントで記事を配布したときの実例を紹介しておきます。
▼ 匂わせ・告知(期待させる)
▼ 当日(詳しく紹介)
▼ フォロワーの反応共有
(迷ってる人の行動につながる)
IF選定と施策を改善することで、投稿を見たファンの行動を具体的に設計します。
▼ ファンの行動を設計
来店まで設計したマーケ施策を考えないとIFマーケは不発に終わります。
店舗経営者はそこまで設計されているかを気にして、IFマーケに取り組んでください。
※本章はインフルエンサー向けです。
まずは、PR案件についておさらいします。
PRには、「固定報酬型」と「成果報酬型」という2種類の報酬形態があります。
① 固定報酬型
投稿に対する価値対価として報酬が支払われます。
自分のPRで発生した売上に関わらず、報酬は変わりません。
② 成果報酬型
PRによって発生した件数に応じて報酬が増えます。
アフィリエイトは成果報酬型です。
固定報酬の場合、結果が悪くても収入が安定します。
影響力が無くてもフォロワー数だけでマネタイズできてしまいます。
一方で、自分の影響力を測定することができないという大きなデメリットがあります。
▼ 自分の影響力の効果
・何人が行動したのか?
・いくら売ったのか?
・成果報酬だったらどのくらい得られたのか?
自分の影響力を可視化できていないのは、インフルエンサーとして致命的です。
例えば、とある案件が
・固定報酬なら一律10万円
・成果報酬なら1件販売につき1万円
で報酬を選べるとします。
あなたなら固定報酬と成功報酬どちらを選びますか?
10件以上売れるなら成果報酬のほうが高くなります。
しかし、売れなかったときのリスクを考えて固定報酬にする人が多いです。
「もしたくさん売れても10万円は手に入るから良い」という考え方もあります。
逆に「15件売れた場合は5万円損している」という解釈もできます。
「5万円損した」というように機会損失を数字で弾き出せる人は強いです。
数字と向き合うのは怖いという人も多いですが、数字と向き合わなければ次のフェーズに進めません。
自分の影響力を数字として可視化していないと、のちのち問題が出てきます。
▼ 数字を可視化しないデメリット
・自社商品を売る時の参考データがない
・根拠となる数字が無く、報酬の交渉ができない
自社商品を売る時に過去のデータがないと、在庫調整で失敗する確率が高まります。
▼ 自社商品を売る時に参考になる過去のデータ
・自分が売れるもの、売れないもの
・どのくらい売れるのか
・売れやすい価格帯
・反応の良いPR方法
PR案件でも過去のデータがないと、根拠のある提案ができません。
例えば、僕には、どんなものを紹介しても「エヌケンが紹介するなら買おう」という人が数千人います。
だから、企業や代理店に対してPRするメリットを複数見せ、わりと高いフィーを僕から提案しています。
結果、報酬の高いPR案件が実現しています。
もし過去の数字を可視化していなければ、根拠のある提案をできないでしょう。
自分が持っている数字から逃げた時点で、アカウントの寿命はたかが知れています。
3章で紹介したカフェの実際の施策を代理店がIFに営業したところ、そのIFは承諾したそうです。
▼ とあるカフェのIFマーケ(再掲)
PRをするIFのアカウントを見に行ったら、「推しカフェしか紹介しません」というスタンスでした。
しかし、行ったことのないカフェをストーリーズ1本だけでPRするという案件を受けています。
▼ PRを受けたことに対する疑問
行ったことないカフェは推しカフェなのか?
本当に推すならストーリーズ1本だけで語れるのか?
察するに、そのIFは「カフェ紹介するだけでお金が入るラッキー案件だ」という考えなのでしょう。
短命のIFにありがちな目の前の小銭を拾う行動です。
まず、ただの客としてカフェを利用してみます。
自分の感性にマッチするものがあれば、PRを受けてもいいと判断します。
PRするとしても、ストーリーズ1本だけでカフェを細部まで訴求することは難しいです。
こちらからストーリーズの本数を増やす提案をしてみても良いでしょう。
代理店から提案された条件をそのまま鵜呑みにしているようでは、IFとして大成功することはありません。
貰った報酬に対して、何を提供できるのかを考えてみましょう。
このカフェのIFマーケでは、IF側はこの案件で10万円の報酬を得られます。
IFがその10万円という数字をどう捉えるかで視座の高さがわかります。
大抵の発信者は「フォロワー1人につき1円だから、フォロワー10万人で10万円」と考えます。
しかし、この考えには合理性がありません。
そのアカウントのフォロワー1人につき1円の価値がつくかは、代理店にもIFにもわかりません。
IFの力以上の報酬が支払われている場合も多いです。
そうなると、「IFマーケは予算が高いわりにうまくいかない」と思われてしまいます。
① 利益的観点
② 認知的観点
③ 権威的観点
利益的観点では、多くの利益を出せる人に高い報酬を支払うのは当然ですよね。
認知や権威の観点では、有名芸能人や専門家の起用がわかりやすいと思います。
例えば、肌がキレイな女優をスキンケアのコマーシャルに起用すれば、
「〇〇さんで商品を知った!」「この人が推しているなら良い物だ!」という認知や権威を得られます。
大谷翔平さんを起用するギャランティは1本5億と言われています。
その商品がすぐに5億売れるわけではなく、起用期間は間違いなく赤字です。
しかし、商品やブランドに良いイメージが残ります。
「良いイメージ」は、ブランディングにおいて非常に大切です。
▼ 赤字覚悟で広告を打つメリット
・認知されている商品は手に取ってもらいやすい
・長期的に見て愛されるブランドになる
IFマーケにも同じことが言えます。
例えば、エヌケンが本を紹介するとすぐに売れます。
僕は読書が好きで、おかげで幅広いジャンルの知識を身につけています。
そして、今まで何度も本を紹介してきました。
いきなり読んだ本を紹介しただけでは売れないでしょう。
今まで読書についてストーリーズで話してきた蓄積も必要なのです。
実績・経験則・本人のブランドがあるから、本がよく売れるのです。
▼ ただ紹介すれば売れるわけではない
カフェのIFマーケのIFに話を戻します。
利益的観点では、そもそもカフェで10万円利益を残すのは結構大変です。
・過去の実績はあるか?
・そのIFの投稿で人が集まるか?
どちらも無い場合は、認知的・権威的メリットも無いと言えます。
そのIFにPRしてもらっても赤字だと予測できます。
・利益は残らない
・認知も広がらない
・権威もつかない
ということです。
「10万円いただくならそれ以上の価値を提供しなければならない」と危機感を持たなければいけません。
▼ 提供すべき価値
・より多くの人を集客する
・売上に貢献する
・コンセプトやオーナーの想いを伝える
・他社との違いを伝える
その施策がWINWINの関係になっているかを考えましょう。
経営者向けの第2章の後半で書きましたが、
・下書きを提出しない
・代理店の要望を聞かない
・返信しない
・期日を守らない
というIFは意外と多くいます。
きちんと相手とやりとりするのは最低限のことです。
・ルールやマナーを守れる
・売上に貢献できる
・報酬以上の価値を提供できる
この2つがあればPR案件が途切れることもなくなり、長くSNS発信者でいられます。
・最初にKPIと予算を決める
・売上に直結する施策にする
・来店(購入)までの客の行動を設計する
・フォロワー数でIFを選ばない
・コメント等からファンの多いIFを選定
・自分のPRの効果を可視化する
・提案された施策が不足の場合
数字を使って自ら提案してみる
・報酬以上の価値を提供する
・PRに関する期日やルールを守る